ユーザーフレンドリーなNGS解析ソフトウェア「Basepair」による胚選択と体外受精成功率の向上

IVF（In vitro fertilization、体外受精）を専門とする先駆的な医療機器メーカーのひとつが、岐路に立たされていました。同社はすでに数十億ドル規模の機器、アッセイ、培養液のポートフォリオを有していたが、そのポートフォリオを拡大し、世界中のラボで使用されるゲノム検査キットを含めることにしました。この検査キットには既存のソフトウェアがあったが、デスクトップ型であり、多くの欠点がありました。拡張性、共同作業、自動化、ソフトウェア更新の容易さなどが欠けていました。

その時彼らには、1）既存のソフトウェアを使い続けるか、2）より良いバージョンを自分たちで作るか、3）ソフトウェア・プロバイダと提携するかの３つの選択肢がありました。最終的に利益を得ることになるお客様と家族のニーズを一貫して満たし、業界をリードする高品質の製品という同社のブランドを反映した最新のソフトウェアを開発することが不可欠でした。とはいえ、彼らは受精の機器や実験器具では成功を収めていたものの、自社のコアコンピタンスはソフトウェア開発にはないことを認識していました。このような急速に進化する業界において、社内に新たなソフトウェア開発チームを立ち上げ、ゼロから製品を構築するのに必要な数ヶ月（あるいは数年）を待つ余裕はありませんでした。厳密な選考の結果、NGS解析と可視化プラットフォームの既存の機能を高く評価し、Basepairとのコラボレーションを決定しました。

拡張性があり、体外受精ラボの技術者にとって使いやすく、自動化機能が組み込まれており、すぐに使える可視化機能を備え、彼らの顧客が世界的なデータアクセス規制を遵守できるような包括的なクラウドベースのソフトウェアソリューションを、Basepairのプラットフォームを使用して構築しました。また、このBasepairのソリューションはクラウドベースであるため、定期的な検査キットの改良に対応するソフトウェア・アップデートを容易に導入することができるため、「将来のための」投資となりました。今日、彼らのお客様がNGS検査のデータを分析するためにログインするときは、それぞれの分野の専門家である2つの組織によるこのコラボレーションの恩恵を受けていることになります。この頭脳の融合により、不便で貧弱なユーザー・インターフェースであったかもしれないものが、シームレスなポイント・アンド・クリック・プラットフォームへと昇華され、健康な新生児の誕生につながる科学的な決定を、数時間ではなく数分で下すことができるようになりました。

カスタマイズされたウェブポータルの構築には約3カ月かかりました。このウェブポートあるは、現在、彼らのブランドのソフトウェアソリューションとして顧客に提供されています。既存のBasepairプラットフォームのすぐに使える機能の多くが含まれていますが、彼らの自社内にすでに保有されていた検証済みのアルゴリズムとワークフローを採用し、ニーズに合わせてカスタム設計されています。同社の検査キットを使用するラボの技術者のプロセスはシンプルです。ワークスペースに関連ファイルをドラッグ＆ドロップするだけで、生のゲノムデータをアップロードし、対応する解析パイプラインを選択し、解析が完了した後、業界標準と併せてカスタマイズされたビジュアライゼーションの組み合わせを使って、検査結果を理解した上で、結果の承認をすることができます。お客様はAWSのセキュリティ・インフラで保護された自社のクラウド・アカウントを使用することができ、クラウド・コンピューティングとストレージのコストを最適化することができます。その一方で、キットが世界中でいつ、どのように使用されているかについての有益な洞察を得ることができます。

体外受精やその他の技術主導のペースの速い業界では、競合同士が常に市場シェアを争っているため、分析と可視化のためのシームレスなオプションを提供することで検査キットの差別化する上で有利になります。一度にすべてのエキスパートとなることは不可能であることを理解することも重要です。だからこそ、このケースでは、Basepairとの提携の利点は理にかなっており、同社のブランドを確固たるものにし、お客様との約束を果たすのに役立ったのです。

この記事は「User-Friendly NGS Analysis Software Improves Embryo Selection & IVF Success Rates」を翻訳、再構成したものです。